らせん






何度目かのリトルフォレストを見た。

若い頃は暗くてドロドロした映画も好きだったけど
現実世界の残酷さを経験してきてからは
映画にまでそういう世界を求めなくなった。

重いタイプの好きな映画、好きな本はもちろんあるし、
でもあたらしく更新される必要のないものだからそれで十分。

食べ物の映画や小説や漫画やエッセイがすごく好きだから
この映画はいつ見ても楽しい。

押し付けがましくないし、余白がたくさんあるから
いろんなことを思い出したり考えたりする。

これはエッセイが好きな理由にも似ている。

あと、家事や料理がひどく面倒だなぁって思う時に見ると
なんだかやる気になれる。(一瞬だけど)

何度目かのリトルフォレストで気づいたこと。

母親からの手紙に書かれていたことが、
私がバラバラに書いたり思ったりしてたことにそっくりだったこと。

タイに2年弱住んで帰国して、元の暮らしに戻った時、
私は結局同じ場所に戻ってきただけなんじゃないかって落ち込んだ。

行く前は何か形になるまでは戻らないと決めていたのに、と。

それから、同じ出来事を違う角度から見るだけで
その出来事から違う解釈が生まれる、
ほんのすこしずらして見てみるのが大事って書いてたこともあってそれも似てる。

YUKIちゃんの好きな詩、
「あたしが思うよりもずっと あたしの空は広がっているんだわ」にも通ずる。

良い台詞だったので引用です。

見たことない方はぜひ。

(プールとか台北の朝、僕は恋をするとか好きな方へ)



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『何かにつまずいて、それまでの自分を振り返ってみるたびに
私っていつも同じようなことでつまずいているなって。

一生懸命、歩いてきたつもりなのに、
同じ場所をぐるぐる円を描いて戻ってきた気がして落ち込んで。

でも、私は経験をつんだんだから、それが失敗にしろ、成功にしろ、
まったく同じ場所ってことはないよね。

じゃあ、円じゃなくて、螺旋(らせん)だって思った。

一方向からみたら、同じところをぐるぐる、に見えても、
きっと少しずつは、上がっているか、下がってるかしてるはず。
それなら少しはましかな。

うーん、それよりも。
人間は螺旋そのものかもしれない。

同じところで ぐるぐる回りながらそれでも 何かあるたびに、
上にも下にも伸びていくし、横にだって。

私が描く円も次第に大きく膨らんで
そうやって少しずつ螺旋は きっと大きくなっている。

そう考えたらね、
私、もう少しがんばれる、って思った。』


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